手合係は見た【86】

2020.07.13 Monday
 


【86】温故知新(1)

ミレニアムの頃、草木染めのメーカーさんと仕事をし、その後の私のキャリアにつながる多くのことを教わりました。

つい100年余り前まで、すべての染料の原料は植物や鉱物だった。桑の実や葉で染めた野良着には防虫や抗菌の効果がある。人は植物や鉱物の持つエネルギーや化学反応を暮らしの中に取り入れてきました。

化学染料の普及により、草木染めはコスト高や後継者不足から絶滅の危機に。そのメーカーさんは多くの特許を取得し、染色の伝承技術(職人技)を合理化、工業化し発展させた。「先人の英知を、現代のテクノロジーで活かす」という話が耳に残っています。

まさに現代の社会生活のトレンドでしょう。そしてそれは将棋の世界にも波及している。「温故知新」。将棋400年の知恵(定跡や手筋、格言など)が、AIによってデジタル化され、再評価されています。

スナップショット

(図は土居矢倉)


最近矢倉戦で見直された▲6七金左型(図)。土居市太郎名誉名人が愛用した土居矢倉ですね。昭和の初期にこの形の優秀さを見出した慧眼には感服せざるを得ません。

((2)に続く)

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手合係は見た【85】

2020.06.08 Monday
 


【85】痛快!西山将棋

マイナビ女子オープン五番勝負はフルセットの末、西山朋佳女王が防衛。最後は奨励会三段の底力を見せました。

その三段リーグ、西山さんは前期14勝4敗で頭ハネの次点。不運としか言いようがありません。実力はすでに申し分なし。何せ将棋に華がある。プロにふさわしい所以です。

(図は△1二香まで)


1月に行われた竜王戦6組、対小林宏七段。図から▲3三飛成!△同金▲7一角△5二飛▲3五角成。いきなり魅せてくれました。すでに私の中では「飛車を叩き切って勝つ」振り飛車党のトップ3にランクインしています。(残りの二人は中田功八段と藤井猛九段)

竜王戦5組昇級までマジック1。昇級なら三段リーグの次点1くらいの価値はあるかと。さらに6組優勝なら四段昇段に異論を唱える人は少ないでしょう。

延期となっていた三段リーグも今月20日からスタートします。こちらで上がれば心配も杞憂に終わるのですが。コロナの第2波が来て再び中断、中止なんてことにもなりかねない。若い身空たちには気の毒過ぎます。

万が一そんなときには、とっておきの秘手(私案)を。それは・・・「リーグ参加者全員に次点1をつける」。とにかく西山さん、一日も早く四段に上がってください。

スナップショット

(図は△6九飛まで)


上の続き。図から▲3一飛成。またもや飛車を切り飛ばしました。以下△同金▲同角成△5八と▲5九歩△同飛成▲4九金打△同とに▲3二金と張り付き快勝。その後も田中寅九段、青野九段、長谷部四段を連破し、今週星野四段と5組昇級をかけて戦います。

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手合係は見た【84】

2020.05.18 Monday
 


【84】コロナ雑感

サロンの休止から3カ月が経ちました。息抜きや癒やしだった将棋が、まさか憚られる日が来ようとは。コロナとサロンの事情(「三つの密」、盤駒を手指で扱う、年配者が多いなど)との相性の悪さを恨めしく思います。

今の混迷は序章に過ぎないのか。この先もさらなる不測の事態が起こりそうな。俗に「ウイルスとの戦い」「コロナ撲滅」などと言われますが、こればかりは(勝ち負けではなく)共存、共生していくしかないのでしょう。



「コ・ロ・ナ」の字を組み合わせると「君」になるとか(上図)。コロナ=君=相手と戦うべきか。先月の拙稿に倣えば、「ウイルスと戦おうとすると大変だが、自分との戦いにしてしまえば相手は関係ない」という理屈になります。

「敵は我にあり」。まずは免疫力を上げるべく努めます。笑いと腹八分でしょうか(笑)。

スナップショット

ピリ辛流作(9手詰)


時節柄、「密」ではない「疎」な形を目指しました。ヒント「ウイルス対策」。(2手目にキズあり。作意手順を後日コメント欄に書き込みます)

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手合係は見た【83】

2020.04.13 Monday
 


【83】自分との戦いにしてしまえば

対局していて、どうも気が合わない人っていませんか。小さな言葉や仕草がカンに障る。おしゃべりやよそ見、手つきなどなど。他にも棋風が違う。読み筋が合わない。最も顕著なのは「苦手意識」でしょうか。

こうした要素はやはり勝負にマイナスに働くんですね。冷静さや集中力を欠く。すでに将棋以外のことでカッとなっているんです。相手側は「どこ吹く風」。感受性の差と言えばそれまでだけど、人には心があるので……。AIがうらやましい(笑)。

もう10年近く前のこと、久保二冠(当時)のインタビュー記事が目に留まりました。「相手と戦おうとするといろんな人と戦う必要があるが、自分との戦いにしてしまえば相手は関係ない」

なるほどと膝を打ちました。一流アスリートに通ずる「克己」の精神ですね。

負けて悔しいと感じるのは、相手に負けたことよりも、自分の不甲斐なさに腹を立てていることがほとんど。それでも「何であんな人に」とうなだれることも。まだまだ修行が足りませんね(笑)。

スナップショット

(図は△4七角まで)


某道場で格上に胸を借りた。図から(▲5七歩では元気が出ないなあ。AIならこうかなと)▲5五金打。(後でソフトに聞いてみたら第3候補でした)。以下△同銀▲同金△5一飛▲3三角△4一飛▲7四歩△同角成▲6四金△同馬▲同飛△6三銀打▲同飛成!△同銀▲6四歩と猛攻。生涯の会心譜となりました。

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手合係は見た【82】

2020.03.16 Monday
 


【82】棋風の成り立ち

棋風とは指し手の特徴のこと。性格との相似はいかほどか。しとやかそうに見えて、モーレツな攻め将棋の人がいる。まあ、車のハンドルを握ると言動が豹変する人もいるし……。これらは「本性」でしょうか(笑)。

勝利にどれくらい固執するか。どんな局面になっても最善を尽くす人。死んだらそれまでですからね。私などは、仕方がない(例えばさっき出た銀を引くよりない)と分かっていても、「そんな手、悔しくて指せるか」と拒んでしまう。「奴隷のような」粘るだけの手を重ねてまで生きていたくない。生への執着が薄いのかな。

「(自分の将棋の)どこが悪いんでしょう」。あるとき、浮かない顔でHさんに問われました。私「相手の言い分を聞き過ぎているのでは」。スポーツなどでも、相手をリスペクトし過ぎるのもよくないとされるようです。「将棋って、結構騙し合いみたいなところがありますから」

「お仕事柄かもしれませんね」。Hさんは(詳しくは書けませんが)人に会って話を聞く業界に勤められていたそうです。

スナップショット

ピリ辛流作(17手詰)


サロン始まって以来の休講。あるべきものがないと、やはり寂しいものですね。今できることをやるよりないかと。(そうだ、詰将棋、作ろう)

図は出来立ての愚作。ヒント「水際対策」。(作意手順を後日コメント欄に書き込みます)

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サロンの概要

受講者随時募集

女性・初級者歓迎
見学もお気軽に


師範
佐伯昌優(さえき・よしまさ)九段

会場
フジサワ名店ビル 7階Bホール
JR・小田急藤沢駅南口2分

日時
第2・第4木曜日 13時〜17時

料金
入会金 2,000円
月謝 3,000円

対象
一般(年齢・性別・棋力は問いません。実力に応じて指導します)

内容
大盤で解説/指導対局もいたします/自由対局

備考
現在、30〜80歳代の男女半々の20数名の方々が、初心者〜有段者まで、棋力に合った楽しみ方をしています。(サロンの様子はこちら

お問い合わせ
E-mail s9ss@hotmail.co.jp
TEL 0466-82-9317

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