対局ファイル #008(12.05.10)


▲YOさん
△YAさん
2012/05/10

YOさんは振り飛車党。熱心な研究家という印象があります。YAさんは居飛車党。長考派で腰の重い棋風です。

後手の一手損角換わりになりました。相腰掛け銀から着々と駒組みが続きます。

先手は飛車を4筋に転換。そして▲28角(1図)! こ、これは。YOさんの秘手ですか。

(1図は▲28角まで)


確か今期の名人戦でも見掛けたような。似ているような、少し違うような。

この角が働くかどうかが勝敗を分けそう。事実ここからの十数手が本局のハイライトだったようです。

1図からの指し手
△81飛▲45歩△同歩(2図)▲同銀△44歩▲54銀
△同歩▲45歩△27銀▲44歩△同銀(3図)▲45歩
△55銀▲17角△36銀成▲38銀△35歩(4図)

▲28角を見たYAさんが長考に沈みました。そして△81飛。落ち着いた好手と思いました。

(2図は△45同歩まで)


2図から(1)▲45同銀では(2)▲35歩を入れたかった。3筋の歩が切れていれば攻め筋が広がります。

あるいは(3)▲45同桂もありましたか。△44銀▲64角の飛び出しは気持ちよさそう。

実戦は▲45同銀に△44歩。大人の手でしたね。先手は4筋をこじ開けに。後手は△27銀ともたれました。

(3図は△44同銀まで)


3図から(1)▲45歩は重かった。ここは桂馬が跳ねたい場所でした。

代えて(2)▲17角には△35歩くらいでしょうか。これなら先手なんとかなるのでは。(アバウトですみません)

△36銀成に▲38銀は涙が出そう。▲45でぶつけた銀がバックしてきた勘定ですからね。

(4図は△35歩まで)


4図では後手の押さえ込みが決まったようです。この後、先手は勝負手を繰り出しましたが、後手の手堅い受けに屈しました。

なお、記者は定跡形に疎く、記事の内容には大きな不安が残ります。佐伯先生の詳説が待たれます。

 

対局ファイル #007(12.04.12)


▲Sくん
△Tさん
2012/04/12

Sくんは、この春小学生になったばかり。才気あふれる将棋で、サロンの大人たちを困らせています。彼に誰一人歯が立たなくなるのは時間の問題でしょう(笑)。

Tさんは居飛車党の本格派。指し手の格調の高さは、サロンでもひときわ光るものがあります。

(1図は△82飛まで)


1図。先手陣の乱れが気になります。図から▲87歩なら無難ですが・・・。

実戦は▲77銀。これに対し△34歩が機敏でした。▲22角成は手損になるので指しにくい。(でもそうするよりなかったかも)

実戦は▲87歩△55銀。先手の角が死んでしまいました。少し進んで2図。

(2図は▲27歩まで)


Tさんの好調な攻めが続きます。図から△25桂▲26銀△17桂成▲同銀。

以下△35香くらいかと思いきや△95歩。盤面全体を使っていきます。Sくんも強く反発して3図。

(3図は▲55桂まで)


▲55桂。迫力十分です。△43の金は逃げにくいですね。先手はもう一枚桂を持っているので、▲55桂のおかわりもある。

Tさんの指し手に注目していると・・・。じっと△78と。Tさんならではの、本筋の手という気がしました。これで勝てるはず。勝てなきゃおかしいとの見立てでしょう。

以下▲63と△42玉に(1)▲26飛がどうだったか。△24香とされ▲43桂成△同金▲25桂△35金の進行は先手変調です。

代えて、やはり(2)▲43桂成△同金▲55桂と迫りたかった。手の見え過ぎが仇となったかもしれません。

この後も、先手の必死の追い込みを、後手が冷静に余しました。Sくんは今一つ実力を発揮できず。この日のTさんは強過ぎました。

(投了図は△13同玉まで)
 

対局ファイル #006(12.03.08)


▲Sさん
△Kさん
2012/03/08

入会して間もないSさんは、近頃メキメキと腕を上げているとの評判です。対するKさんも、大会や他の道場に熱心に顔を出し、着実に地力をつけています。好局の予感。

(1図は▲55歩まで)


先手が▲75歩△同歩▲55歩(1図)と仕掛けたところ。ここで、居飛車党ならぜひ指したい一手があります。

△86歩。この突き捨ては居飛車の心ともいうべきもの。▲同歩と取らせて△55歩と戻せば、▲同角に△86飛と走れます。局後、佐伯先生からも真っ先に指摘がありました。

この手を逃がし、先手がペースをつかみました。後手もじりじりと追い上げて2図。

(2図は△75馬まで)


2図から(1)▲61飛成としましたが、(2)▲42と△同馬▲62飛成くらいが明快だったかもしれません。

実戦は▲61飛成に△41金引▲42銀△94角(3図)

(3図は△94角まで)


Kさん渾身の勝負手です。狙っていましたね。竜取りと同時に▲58の金をにらんでいます。

以下▲72と△58角成▲同金△39銀▲17玉△48銀成(4図)

(4図は△48銀成まで)


先手玉も危なくなりました。

4図から(1)▲41銀成は目測を誤りましたね。(2)▲31銀成△同金▲32金と張りつけば、おそらく先手が残していたでしょう。

実戦は後手が先にゴールイン。見事なスパートでした。終局後、Sさんは「穴熊なんて誰が考えたんだろうね」と、その遠さをぼやいていました(笑)。
 

対局ファイル #005(12.02.09)


▲Sさん
△Hさん
2012/02/09

高段者同士のコクのある戦いをご覧下さい。Sさんは力戦派。棋理の明るさにも定評があります。Hさんは居飛車党。サロンでは抜群の安定感を誇ります。

初手からの指し手
▲36歩△84歩▲35歩△85歩▲78銀△86歩
▲同歩△同飛▲87歩△82飛▲38飛△32金
▲36飛(1図)

(1図は▲36飛まで)


Sさん独特の序盤戦です。「この形(初手▲36歩)は2000局以上指している(本人談)」とか。対するHさんは自然な対応です。少し進んで2図。

(2図は△54銀まで)


2図から▲16歩△同歩▲46桂。Sさんの戦(いくさ)上手な感じが出ています。

多少無理気味なところから、自分の世界に引きずり込むシーンは、サロンでもよく見掛けます。さらに進んで3図。

(3図は▲21銀成まで)


はっきりしない、急所の見えにくい局面です。ここからHさんは△55歩。こう指すものですか。

ぼんやりとした手渡しのようにも見えましたが・・・。以下▲26歩△54桂。なるほど、これが狙いでしたか。

先手は飛車と角、玉の配置がよろしくありませんね。飛車を取られて苦しいながらも、Sさんは手順を尽くします。

(4図は▲54桂まで)


4図。2枚の桂馬が急所に迫り、後手も少し気持ちの悪いところ。Hさんは少し迷って△32玉。そちらですか。

以下(1)▲46角に△44銀。この「桂先の銀」が決め手となったようです。

代えて(2)▲33歩は手筋。△22玉には▲32銀とかぶせてどうか。(Sさんは、玉を逃がすようで、気が進まなかったとのこと)

Sさんは、含みを持たせて▲46角を選んだ。Hさんの△44銀がそれを上回ったというところでしょうか。

その後は△44の銀が2枚の桂を取り切り、後手の優勢が確定しました。とても見応えのある中盤の応酬でした。さすがは重量級(笑)。
 

対局ファイル #004(12.01.12)


▲Oさん
△Kさん
2012/01/12

Oさんは振り飛車党。穴熊から猛攻する将棋をよく見掛けます。Kさんは居飛車党のはずでしたが・・・。最近は振り飛車にもチャレンジし、芸域を広げているとのこと。相振り飛車になりました。

(1図は△56歩まで)


1図。△56歩は早計。左の金銀に手を掛けたいところでした。

▲56同歩△同飛に(1)▲55歩とフタをすれば、後手の飛車は行き場を失っていました。(次は▲67金)

実戦は(2)▲57歩△54飛。以下▲75銀△77角成▲同桂と進み、戦いが始まりました。

(2図は△71金まで)


途中、後手にやや誤算があり、先手ペースに。後手は左の銀桂が残っているのが痛いですね。

2図の△71金に、馬を逃げるOさんではありません。▲62金としがみつく。(▲71同馬もありました)

以下、(1)△62同金▲同馬△71金なら、2図とそっくり。実戦は▲62金に(2)△72金▲同金と進み、次第に後手の受けが難しくなりました。

(3図は△88飛まで)


3図。Kさんはやや力のない手つきで△88飛。▲58金寄で不満なしと思いきや、Oさんは少考されています。

そして決然と▲62金。ここで手抜いて攻め合いますか。△68飛成は詰めろ(△27角成以下)ですが・・・。

出ました、▲72銀(4図)。

(4図は▲72銀まで)


これが詰めろ逃れの詰めろ。こんなにぴったりとして手は、なかなかお目に掛かれませんね。

△72同角引ではジリ貧とみたか、△27角成から殺到しましたが、わずかに届かず、後手の投了となりました。

3図から4図は見応えがありました。Oさんの傑作でしょう。
 

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