年賀詰2016 解説Part2

2016.01.08 Friday
 

(解説Part1はこちら

昨年を上回る14局が揃いました。ご参加いただいた皆さま、解説に協力して下さった玉子王子さんに心よりお礼申し上げます。

本企画はあくまでも年始の挨拶であり、創作の巧拙を競うものではありません。どうか温かな眼差しでご鑑賞いただければ幸いです。(ピリ辛流)

OHSHOU


▲1三角成△同 桂 ▲2一角 △2二玉 ▲3三桂成△同 玉
▲3一飛成△2四玉 ▲3五竜まで9手詰

妙手▲3三桂成

初手▲1三桂成は△同桂で不詰。▲1三角成〜▲2一角と迫ります。

4手目△1一玉は▲4三角成以下早詰。△2二玉に▲3三桂成が絶妙の好手で、△同玉(*)に▲3一飛成以下ぴたりと収束します。実戦でこうした順で詰ますことができたら、さぞかし気分がいいでしょうね。

(*)△1一玉も▲3二角成(または▲4三角成)以下同手数の詰み。

千成ひょうたん


▲7四角成△6三金合▲5三銀 △6一玉 ▲6二銀成△同 金
▲5一飛成△同 玉 ▲4一飛まで9手詰

守備駒を逆用

2手目△4二玉は▲5一飛成△3二玉▲4一馬以下同手数駒余り。6三への合駒は金以外だと▲5三銀〜▲6二銀成があります。

よって△6三金合としますが、それでも▲5三銀〜▲6二銀成と迫り、召し取った飛車で詰め上げます。

序で発生させる合駒、それらの守備駒を逆用して仕留める。とても野心的なテーマに感銘を覚えました。

ハナ&ナツ


▲2三銀 △同 飛 ▲2一銀 △同 飛 ▲3二飛成△2二銀
▲2三銀 △1三玉 ▲1四銀成△1二玉 ▲2三成銀まで11手詰

銀の舞

初手▲3二飛成は△2二銀で不詰。▲2三銀〜▲2一銀が、飛車を翻弄しつつ下段に落とす一連の好手です。

待望の▲3二飛成に△2二銀の移動合で抵抗しますが、▲2三銀〜▲1四銀成〜▲2三成銀と、銀のステップで詰め上がりとなります。

攻方は5手目以外はすべて銀の着手。△2二銀ともども「銀の舞」とも言うべき一局でした。

龍女


▲2四桂 △2一玉 ▲1二銀 △同 金 ▲3二金 △同 角
▲1二桂成△同 玉 ▲1三金 △2一玉 ▲3三桂不成まで11手詰

吊るし桂

詰将棋らしくリズミカルな手順。収束も吊るし桂で心地よく詰め上がります。4手目△同角は▲1三桂不成△同金▲3二金まで。

玉方4二歩は余詰消しの駒。3手目▲3二銀は△同金▲同桂成△同玉▲3三金△4一玉で逃れています。

玉方4二歩に代えて3四角を置く案もありそうです。(その場合、詰手順は少し異なります。お調べを)

遠藤三郎


▲2二金 △同 玉 ▲3一銀 △同 玉 ▲4一金 △3二玉
▲4四桂 △同 歩 ▲4二金 △同 玉 ▲4三銀打△5三玉
▲6三金まで13手詰

穴熊×小駒図式

穴熊玉を小駒で攻略。見るからに金銀のやりくりに悩まされそうです。

攻方5一金の活用が本局最大のポイント。一つには▲2二金〜▲3一銀の順に捨て、5手目▲4一金と活用する。二つには▲4四桂と打ち捨ててから9手目▲4二金とさらに活用する。△同玉(*)以下中空にて詰め上がりとなります。

(*)△2二玉も▲3一銀(または▲3二金)以下同手数の詰み。

A. K.


▲1四桂 △3二玉 ▲4三桂成△同 玉 ▲5三飛成△3二玉
▲2二桂成△同 玉 ▲2四香 △1一玉 ▲3三角成△同 桂
▲5一竜まで13手詰

鮮やかな収束

初手▲3四桂は手が続くものの不詰。正しくは▲1四桂でした。

この桂を7手目▲2二桂成と成り捨てるのが鮮やかな収束の始まり。以下▲2四香と打ち換え、△1一玉に▲3三角成が豪快な決め手。△同桂に▲5一竜まで合駒効かずの詰みとなります。

9手目▲2四香は2五以遠も可。10手目△3二玉は▲2三香成△4一玉▲5一竜まで。こちらも正解です。

ピリ辛流


▲2三桂 △同 馬 ▲1二歩 △同 馬 ▲同 と △同 玉
▲2一角 △1一玉 ▲2二竜 △同 玉 ▲3二馬 △1一玉
▲2三桂 △同 竜 ▲1二歩 △同 竜 ▲同角成 △同 玉
▲2二飛 △1三玉 ▲2三飛成まで21手詰

初形「16」

初手▲1二歩は打歩詰。ほどなく▲2三桂〜▲1二歩が浮かぶでしょう。

8手目△1三玉は▲5三竜△1四玉▲1三竜△同玉▲1五飛△1四合▲2五桂以下早詰。△1一玉に▲2二竜が英断の継続手です。

12手目△1三玉は▲2五桂まで。△1一玉で再び打歩詰の局面に。ここでも▲2三桂がありました。収束は清涼詰。きれいにさばけました。

(作者の敬称は略しました)
 

年賀詰2016 解説Part1

2016.01.07 Thursday
 

新年明けましておめでとうございます。

当ブログの年始企画である年賀詰の前編です。指し初め前のウォーミングアップに如何でしょうか。本年も宜しくお願い申し上げます。(玉子王子)

玉子王子


▲3一角成△2三玉 ▲1二飛成△同 玉 ▲2二馬まで5手詰

玉は下段に落とせ

5二の飛車が当たっているので、初手は▲3一角成と両王手する一手。

対して△同玉は▲2二飛成まで、△3三玉は▲2二馬までの早詰なので△2三玉ですが、3手目▲1二飛成が詰将棋らしい玉を下段に落とす手筋で、以下△同玉▲2二馬で詰み上がります。

なお、3手目▲4一馬と金を取るのは△3三玉で不詰。

あつしくん


▲2六角 △同 玉 ▲1七金 △1五玉 ▲2七金まで5手詰

開き王手詰

年賀詰にふさわしい七色図式。初手▲3五角や▲5三角成などの開き王手は、△1六歩と合駒されて詰みません。また、初手▲1六金は、△同玉なら▲5三角成以下詰みですが、△1四玉と引かれると詰みません。

そこで初手▲2六角の両王手で玉を吊り出し、▲1七金と打ち換えるのが面白い手順で、最後は打ち換えた金を寄った開き王手で詰み上がります。

ななころび


▲2四桂 △1一玉 ▲2一金 △同 玉▲3三桂不成△3一玉
▲2一金まで7手詰

桂の包囲網

桂の特性を生かして、玉を包むように詰めるのが本作のテーマです。

まず初手▲2四桂で△1一玉(△2一玉は▲3三桂不成以下駒余りで早詰)と追い、▲2一金と捨てて玉を2一に呼んでから、▲3三桂不成と二枚の桂で玉の包囲網を絞っていきます。

最後は再度の▲2一金で収束。金打ちのリフレインが印象的でした。

チビワン


▲3二桂成△同 玉 ▲3一金 △同 銀 ▲4三銀 △4一玉
▲5二金まで7手詰

実戦型

矢倉囲いの実戦型詰将棋。初手▲3二桂成△同玉までは必然ですが、3手目▲4三銀は△同銀で5三角の利きが3一まで通って詰みません。

そこで角の利きを通す前に3手目▲3一金と捨て、△同銀と守りの銀を引かせます。以下は▲4三銀△4一玉▲5二金で詰み上がります(6手目△4一玉に代えて△2二玉も▲2三金までの詰み)。

うさこ


▲7四桂 △同 銀 ▲6二竜 △8一玉 ▲7二銀 △9二玉
▲8三銀引成△8一玉▲7二竜まで9手詰

一間竜の作り方

初手▲7一銀は△9二玉▲7二竜△8二歩合で詰みません。

7三の銀の守備力を弱め、かつ一間竜の形をどのように作るかが本作を解く鍵ですが、初手▲7四桂△同銀と捨てることで▲6二竜を実現させます。2手目△9二玉は▲8一銀まで。

▲6二竜△8一玉(△7二合は▲7三銀打以下駒余り)▲7二銀△9二玉に、▲8三銀引成の両王手が最後の決め手です。

ノラネコ


▲3一飛 △2三玉 ▲2二桂成△同 玉 ▲3三銀 △1三玉
▲1一飛成△2三玉 ▲2四金まで9手詰

要駒の打ち換え

初手は上部脱出を防ぐ▲3一飛で、△2三玉(△3一同玉は▲2二金まで)に3手目▲2二桂成が軽妙な成り捨て。

対して△1三玉は▲3三飛成以下、△1四玉は▲3四飛成以下、△2四玉は▲3五金以下駒余りで詰むので△2二同玉としますが、▲3三銀と攻めの要駒を桂から打ち換えて収束に入ります。

6手目△2三玉は▲2四金で、△3一玉は▲2二金で早詰。8手目△1二合は▲2四金で詰み。

敗者


▲2五桂 △同 歩 ▲3一角 △2三玉 ▲2四飛 △同 竜
▲2二角引成△3四玉▲4四角成まで9手詰

大駒の連携

初手▲3一角は△2三玉から上部に逃げられるので一工夫必要ですが、▲2五桂が巧い捨て駒。対して△2三玉と逃げるのは▲4五角が退路封鎖の好手で、以下△同竜▲2二飛△3四玉▲2四飛成△4三玉▲4二角成の同手数駒余りで詰み。

よって△2五同歩としますが、▲3一角△2三玉に▲2四飛と先に空けた所に捨てるのが最後の決め手で、△2四同竜と竜を移動させてから▲2二角引成〜▲4四角成で詰み上がります。

なお、6手目△2四同竜に代えて△3三玉は▲4二角成で早詰。変化手順を含めて大駒同士の連携が見事な作品です。

(作者の敬称は略しました)
 

年賀詰2016 Part2

2016.01.01 Friday
 

(Part1はこちら

OHSHOU(9手詰)


千成ひょうたん(9手詰)


ハナ&ナツ(11手詰)


龍女(11手詰)


「詰将棋、解くはむずかし、作るはたのし。今年もガンバリます」

遠藤三郎(13手詰)


「時節柄、裸の王様には気を付けて!」

A. K.(13手詰)


「今年は得意戦法をマスターして勝率を上げたいです」

ピリ辛流(21手詰)


「HAPPY NEW YEAR 2016! 秋には佐伯先生の盤寿のお祝いを」

(作意手順を1/8に掲載します)
 

年賀詰2016 Part1

2016.01.01 Friday
 



新年吉例「年賀詰」。受講者有志より、自作の詰将棋を添えて、初春のお祝いを申し上げます。(企画・取りまとめ:ピリ辛流)(作者の敬称は略しました)

玉子王子(5手詰)


「今年も対局数を増やして勝負勘を磨いていきたいです」

あつしくん(5手詰)


「全ての種類の駒を出演させました」

ななころび(7手詰)


チビワン(7手詰)


うさこ(9手詰)


「詰将棋を解くのが苦手な私が作ったので、9手詰とは言え、易し過ぎたのでは?」

ノラネコ(9手詰)


「余詰がないか心配ですが、多分大丈夫だと思います・・・。今年もよろしくお願いします」

敗者(9手詰)


(作意手順を1/7に掲載します)
 

【アーカイブ】鬼と呼ばれた棋士 その3

2015.10.03 Saturday
 

(その1はこちら
(その2はこちら

フリークラスと連盟

鈴木 宮田さんと同時に今期フリークラスに行かれましたが。

佐伯 あと2年だね。ぜんそくが出てC1に落ちてからは引退を考えるようになった。

鈴木 そうだったんですか。辞める時期を決めるのは如何ですか。

佐伯 女房は5、6年前に辞めた方がいいと言ってた。一言でいうと未練だね。

鈴木 深いですね。生への未練もあります。年を取らないと判らないこともありそうです。

佐伯 普及も頑張りたい。デパートの将棋祭りもやってるけど人数が増えない。大会も同じです。道場は15年良かったけど下り坂の印象ですね。

鈴木 道場も一番いい時期に始めたと思いますけど、盛り上げるにはどうしたら。

佐伯 パソコンの影響もある。遊び方が変わってきたしね。棋士の自覚がついていけるかどうか。

鈴木 現場の意見ですね。NSNも力を入れてますけど、共存出来ると思ってますが。

佐伯 もちろん、ただ一人の力ではどうしようがない。思っているのは、普及は女の子だね。

鈴木 女流プロということですか。

佐伯 そう。男性の師匠同士で話す場を持ちたい。女流にどんどんやって貰う。これしかないね。足を引っ張ってはいけない。

鈴木 時代の変わるスピードに驚いています。インターネットの世界は一年で黒字が大赤字になったりします。

佐伯 そうでしょう。僕は株が趣味で30年以上やってる。それで見ても、将棋界は2、3年で変わると思う。

鈴木 通信ネットの世界はこれからだと思いますけど、好手もあったり悪手もあったりで(笑)。ですが、負ける訳にはいきません。

佐伯 棋士の気持ちが大切だね。弟子達の世代が苦労しては可哀相だ。

鈴木 将棋は日本の文化です。文化を大切に残していくのは連盟の責務だと思います。

佐伯 棋士は尊敬されるけど、いばっちゃいけない。4人の弟子には厳しく言ってきた。その意味ではしっかりしていると思う。

鈴木 中村君は運営のリーダーになれる一人です。後も実にいいです(笑)。

佐伯 駅長に較べれば僕なんかまだまだですよ(笑)。

趣味と優先順位

鈴木 優先順位を伺ってますが。大橋巨泉さんの本でも出てました。

佐伯 一番は家族だね。二人の子は大学を出して5人の孫がいる。まず家庭を守ってからだと思う。

鈴木 棋士としてより人間としてですね。後に普及とか対局ですか。

佐伯 そうだね。体を使うことが普及になる(笑)。旅行が趣味だけど10時間位は運転しても平気だね。

鈴木 先生は15の時に相撲に行っても大丈夫でしたね(笑)。

佐伯 どちらにしようか迷っていくんだよ(笑)。これは本当。酒は一升飲んだけど、今は5合位。弱くなった。

鈴木 それだけ飲めば十分です(笑)。20代から始めた株はどうですか。木村(義)先生が有名ですけど。

佐伯 まずまずだね。日経は毎日読んでる。これは内緒だけど、木村さんと一緒にしてほしくない(笑)。

鈴木 本日はありがとうございました。また酒をご一緒させて下さい。

対談を終えて

佐伯先生の世代はいいたいことを言えなかったのかもしれない。将棋界の実力者が今よりずっと力があり、嫌われては生きていけないこともあるのではないだろうか。無論、将棋が強ければ別である。対局以外の小さな仕事も実力者が関係していてはままならない。自由な発言をする為には、安定した生活の場がなくてはいけない。道場を始めた理由も、一つにはその辺もあったのではないか。

先生の総会での発言を聞いていると、中堅棋士の抵抗の歴史、とも感じられた。もし、道場を持っておられなければ、論陣を張ることも出来なかったと思う。

新会館を作る時は、同年代で理事を担ぎ出したと言われた。下のクラスからも出るようになったのはその頃からである。上位者には面白くなかったかもしれないが、風圧を受けて守った物も小さくなかったと思う。戦後の焼跡派の意地は確かに足跡を棋界に残している。
 

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師範
佐伯昌優(さえき・よしまさ)九段
指導員 遠藤三郎アマ六段

会場
フジサワ名店ビル 7階Bホール
JR・小田急藤沢駅南口2分

日時
第2・第4木曜日 13時〜17時

料金
入会金 2,000円
月謝 3,000円

対象
一般(年齢・性別・棋力は問いません。実力に応じて指導します)

内容
大盤で解説/指導対局もいたします/自由対局

備考
現在、30〜80歳代の男女半々の20数名の方々が、初心者〜有段者まで、棋力に合った楽しみ方をしています。(サロンの様子はこちら

お問い合わせ
E-mail s9ss@hotmail.co.jp
TEL 0466-82-9317

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